突如街に出現した怪獣は口から強力な炎を吐き出し、街をあっという間に火の海に変えた。 少し離れた場所からその様子を見つめる少女。学校の制服の上から防衛隊の制服の上着だけを 羽織っているその少女は、意を決したというような表情を見せると、首からさげたペンダントを 胸に当て目を閉じる・・・。少女が光に包まれ一つの光となると、一見すれば消えた と思ってしまうほどの速度で空高く飛び上がる。そして上空でひと際強い光を放つと 光の中から現れたのは銀色の肌の巨大な少女、ウルトラガールソフィーだった。 「ハァッ!」 炎を吐き暴れ回る怪獣めがけ上空から急降下して蹴り飛ばす。地球の守護者として 怪獣と対峙するソフィー。 「ソフィーだ!」「ソフィーが来たぞ!」 ソフィーの出現に歓声をあげる街の人々。今までも幾度となく街を、地球を怪獣や宇宙人から 護ってきたソフィーは地球の人々にとって守護者としてはもちろん、 数十mという巨体ではあるがその少女のような可憐な容姿や、戦いの中においても どこか美しさを感じさせることで慕われある種の人気者のような存在になっていた。 そんな街の人々に笑みを向けるとソフィーは不思議な力で火の海と化した街の炎を 消し去った。そして消えた炎の向こうで倒れていた怪獣が立ち上がるのをみると 表情を引き締め闘いの構えをとる。    怪獣の口からソフィーめがけて炎が勢い良く吐き出される。ソフィーはバク転しながら距離をとり 炎の射程外へと逃れると大きく弧を描く様に飛び上がり炎を吐き出す怪獣ごと飛び越え 後ろに回り込む。と、同時に高速の後ろ回し蹴りを放つ。よろける怪獣との距離をすぐに詰めるソフィー。 (これ以上皆を危険に晒すわけにはいかない!) どうやらこの怪獣は口から吐く炎が主な武器のようでそれを誘えば先ほどのように ダメージを与えることもできたが、ソフィーは再び街を火の海にさせるわけにはいかないと 肉弾戦を挑むつもりなのだ。怪獣と正面からぶつかるソフィー。 「くっ、うぅ・・・」 距離を詰められた怪獣は一転、ソフィーの誘いに応じるように両腕を振り回したり、 体当たりなど力任せの攻撃でソフィーを圧していく。 それに対してソフィーは足下めがけ水面蹴りを放ちバランスを崩した怪獣を飛び上がりながら 蹴り上げ、そのまま高く飛び上がると前転の勢いをのせて踵落しを見舞った。 肉弾戦では単純な腕力で劣るソフィーが不利のように見えたが、それほど戦闘力の高い 怪獣ではないらしく、持ち前の素早さや運動能力を活かした攻撃でソフィーはすぐに 優位に立った。 「やった!」「いいぞー!ソフィー!」 怪獣を圧倒する守護者の闘いに沸き立つ人々。誰もがソフィーの勝利を信じて疑わなかった。 この後まもなく、その巨大な少女が陥る危機を、そのあまりにも凄惨な光景を、 想像するものすら、誰一人としていなかった・・・。