「高い身体能力を持っているようだ。格闘戦では二人同時にかかってもかなわないだろう」 「光線技も多種多様で状況に合わせて使ってくる。どれも厄介だな」 鳥のクチバシのような口をした丸い大きな頭の宇宙人が二人、 並んで椅子に腰をかけモニターに映された映像を見ながら議論をしている。 モニターには銀色の少女、ウルトラガールソフィーと怪獣との戦いが映し出されている。 それもただの戦いの動画ではなく、ソフィーの体温やエネルギーの循環の様子、光線技の威力など 様々な情報も同時に表示されている。 宇宙人の名はガッツ星人。地球征服を目論む侵略宇宙人である。そしてその地球征服の一番の 障害であり、また、地球人が地球防衛の拠り所としているソフィーを倒すことで 地球人の戦意を喪失させ一気に地球を侵略しようと企んでいるのだ。 「まともにやりあって勝てる相手ではないな」 一人が呆れた様につぶやく。これから地球を侵略しようというのにあまりにも消極的な発言である。 しかし、諦めたという口調ではない。むしろ楽しんでいるような。 「あぁ、だが、弱点も少なくないようだ。これを見ろ」 もう一人がリモコンを使って映像を切り替える。 先ほどまで視ていたものとは違いソフィーが怪獣との戦いに苦戦を強いられている姿が映っている。 「ふむ、このときは明らかに動きが鈍いな。光線技の使用も控えている様に見える」 「その通りだな。だがこの戦いの最初からそうだったわけではない。 胸のランプのようなものを見てみろ」 そう言って再度リモコンを操作し別ウィンドウにソフィーの胸のカラータイマーが アップで映し出される。 「あぁ、色が変わっているな。戦いの最中に徐々に青から赤に変化していっている」 「そうだ。おそらくこれはヤツのエネルギー残量を表している」 そう言って再び画面を戻しカラータイマーの色が青のときと赤のときの映像を並べて映す。 そして両方ともエネルギーの循環の様子を表した映像に切り替える。 「なるほど、エネルギーの出力が明らかに違うな。それに・・・」 「あぁ、エネルギー出力が高いときはわかりずらかったが、 エネルギーはこの胸のランプの辺りから全身に送られているようだ」 「ククッ、宇宙の平和を守る守護者様が、なんとも間抜けなものだな。 敵に自分の身体の状態を教え、弱点を晒しているとは」 ソフィーのあまりにもわかり易い弱点に一人があざ笑う。 「だが、やはり隙もないな。 あれだけ目立つのに今まで誰もあそこを狙わなかったというはずはないだろう」 「それもそうだ。それに、胸のランプでエネルギーの残量がわかるとはいえ、 エネルギーを消費させる、もしくは奪うのは容易な事ではないな」 弱点を見つけただけでは勝利には繋がらない。弱点を突く術まで考えなければ必勝はない。 この二人はそれをよくわかっている。 「さて、どうしたものか」 言いながら、次々と映像を切り替える。 「待て、止めろ」 「ん?ヤツの必殺光線か。これを食らったらひとたまりもないだろうな」 「あぁ、だがこのとき胸は完全に無防備になる。足元を見る限り反動もかなりある。 すぐに止めて防御に移ることはできないだろう」 「なるほど。しかも、他の光線技に比べエネルギー消費量も格段に大きいようだ」 「あぁ、良い案が浮かんだ。これでヤツを生け捕りにできるはずだ」 二人のガッツ星人によるソフィー暗殺計画が始まる。