《チェンジ》上

 

「やあ、美由紀、小百合」K教員が手を振る。

「あっ、K先生!」いち早く美由紀がK教員を見つけて、手を振り返す。

「えっ?どこどこ?」小百合は人を見つけるのが苦手らしく、キョロキョロしている。

 

「北海道まですまんな、寒いだろ」K教員はフカフカのコートを着ている。

(いくらするんだろ?)小百合はK教員に悟られないように首元のふわふわした毛の部分を

触ってみた。フカフカ度がハンパではない。

「えと、一応予定ではDVD用の映像を撮るって事ですよね?」美由紀は送られてきた手紙を

見ながら確認する。

「そうだ。まあ新しい試みもあってな・・・それは着いてから話そう」

そう言うと、K教員はタクシーを拾う。

そして三人は乗り込み、「予定場所」へと向かった。

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着いた場所は廃校だった。

「またマニアックな場所を選びましたねー」美由紀が建物を見回しながら言う。

「あっ・・・」小百合はブランコへ走って行き、乗ってみた。

ギィギィうるさいが、まだ使えるようだ。熱中して乗っている。

「なあ?美由紀」K教員がタバコを一服しながら言う。

「何ですか?」

「何で、小百合は、ああ萌える行動ばかりするんだ?」

「萌えてるんですか・・・」

「ああ・・・」

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撮影場所は体育館だった。さすがに寒い。

「無理でしょ・・・寒すぎるし」美由紀は皮ジャンさえも脱ごうとしない。

「同感・・・カチコチの試合になっちゃいますよ」小百合もセーターを着ているがブルブル震えている。

「実は、ある薬品が完成してな・・・マウスから始まり、人体実験も相当やった、安全性の高い

薬品だ、これを使おうと思ってな」Kがポケットから、小さなビンを取り出した。

「注射!?」小百合が拒否反応を起こした。小百合は注射が大嫌い。

「心配するな、飲むだけ」K教員は二人にビンを渡す。

「苦いぞ」そう言ってKは笑った。

二人は鼻をつまんで一気に薬品を飲んだ。ひどく苦い。二人は同時に体をぶるぶるぶるっと震わせた。

「じゃあ、30分あたりで効いてくるから、待とう」K教員は撮影スタッフ用のストーブで温まっている。

「あ!薬の効果効いてない!」

「あ、本当だ!忘れてた!」

美由紀と小百合は寒さに気をとられ、言われるままに適当に薬品を飲んでしまった事に気がついた。

「いずれ解る、それに言うと面白くないしな。凄いぞそれは。フフフ」Kは楽しそうに笑った。

その笑い方から、特に修羅場になる試合にはならないかも?と美由紀は感じ取った。

「それとな、今日の試合、適当でいいぞ、パンチも軽くでいい、いや、最初は軽くしろ」又、K教員は妙な事を言う。

美由紀は勘ぐるのをやめた。どんな試合でもこなすのがプロ。おごり高ぶってはいけない。

だが、飲んだ薬の苦さを思い出すと今でも体がぶるぶるぶるっと震える。

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「あれ?体がホカホカしてきた」最初に気がついたのは美由紀だった。

「あ、言われて見ればそうかも、っていうか暑い?」小百合はセーターを脱いだ。

「頃合だな、二人とも、今回はエロがコンセプトだ、短めのスパッツが用意してある。

グローブは二人とも、そこの赤いのをお互い使え、後はな、お約束通りトップレスだ」

美由紀と小百合は、早々に服を全部脱いで着替えた。

着替えシーンもサービスショットで使うとの事で、舐め回すように撮影された。

リングに上がって二人がマウスピースを咥えた頃には、トップレスでも汗が出るほど体が

暑くなっていた。

「では1ラウンド5分、ダウン製無し、試合終了は強制的に止められるまで!」

Kがそう叫ぶと、カーンとゴングが鳴った。

(軽くね、軽く)美由紀はとりあえず、ここはジャブだろうと思い、小百合の顔面にパンッと打った。

「ふぁっ!」小百合が妙な声を出した。

(ふざけてるのか?小百合は)美由紀は連続でジャブを顔面に追加で打ち込んだ。

「ふぁぁっ!」どうも小百合の調子がおかしい。

いや、自分もおかしいと美由紀が気付いたのは、スパッツの締め付けがやたらフィットしているように気持ちが良い事、マウスピースの咥えた感じに違和感がある事だった。

美由紀がそれらに気を取られている間に、スキを見て小百合がジャブを打って来た。

パンッ!

「あ・・・れ?」美由紀は痛くない事に気がついた。むしろ、自慰行為を始める前に、自分でじらして

下着の上から軽くタッチする。そのような感覚が脳を支配した。

パン!パン!とジャブの打ち合いが続く。

二人を高揚感が襲う。それと、ガードをする事によってその高揚感は感じない事が判ってきた。

「そろそろ本気出そうか?二人とも。それはダメージを快楽にチェンジする薬なんだ」K教員が言うと。二人は成る程と理解した。

「どっちが打つ?」美由紀が小百合に言った、勿論、打ってきて欲しかった。

「SEXの時のゼンギってこんな感じかなぁ・・・」小百合はポーッとして聴いていない。

(イカせてやろう)美由紀は一歩踏み出て、無防備な小百合に右フックを打った。

ぐしゃっ

と、音だけは痛々しいがジャブを凌ぐ快楽が小百合を襲う。

「気持ちイイよ・・・オシッコが出そう・・・」

小百合のセコンドが急いで洗面器を小百合に差し出した。

「あ・・・ありがとう」打たれた衝撃でフラフラしながら、小百合はスパッツを下げた。透明な液体がぬちゃっと、性器からスパッツに伸びた。。

そしてしゃがんで、小百合は洗面器に放尿した。快楽の為に羞恥心も無いらしい。

「あ、おしっこ気持ちいい・・・」勢い良くシャーと出る尿の刺激に、尿道も感じてしまうらしい。

撮影用カメラが放尿の様子をアップで撮影している。

最後にティッシュペーパーをセコンドにもらい、尿をふき取った。

「美由紀、みてみて」小百合は尿を拭いたティッシュを見せる。

ふき取った尿より、ヌラヌラとした液体の方が多い。

(フック一発で小百合みたいになっちゃうのか・・・)美由紀は少し不安になったが、同時にそれを渇望している自分も感じる。

「よいしょっと、へへへ」小百合がスパッツをあげた。

(もう一発打ってみよう)

ズバッ!

今度は美由紀の左フックが小百合の頬に食い込んだ。

「プあぁっ!」

小百合がマウスピースを吐き出す。いや、物凄い量の唾液とマウスピースだ。

びちゃぁぁっ!マウスピースがワンバウンドする。

びちゃっ・・・びちゃっ・・・二度跳ねて美由紀の足元で止まる。

そして小百合は足をガクガクさせながらゆっくり座り込んだ。目がイっている。

この薬は、軽いフェチでも恐ろしいほど底上げして、強烈なフェチにするらしい。

美由紀はマウスピースに軽い興奮をした事はあったが、小百合のヌラッと唾液で光るマウスピースを見て、心臓がバクバクしている。

(小百合のマウスピース・・・つばクサイ・・・つばで臭いマウスピース・・・刺激臭・・・つばでグチャグチャ・・・手に取りたい・・・顔になすり付けたい・・・嗅ぎたい・・・)

 

「美由紀ぃ」

小百合がいきなり話しかけて来たので美由紀はドキッとした。

「私のクッサイ、マウスピースをどうしたいの?嗅ぎたい?嗅いでいいよ、イって?今のフックで私イっちゃったから・・・」小百合が挑発する。

美由紀は、小百合が自ら、自分のマウスピースが臭いと公言した言葉でさらに興奮する。

震えるグローブで美由紀は小百合のマウスピースを手に取った。

(小百合の歯型・・・奥歯まで解っちゃう・・・口と歯茎と唾液の匂い・・・)壊れた美由紀は、ためらう事なく匂いを嗅いだ。

 

「美由紀―、臭い?臭い?興奮する?」

「臭い・・・興奮する・・・」美由紀は白状した。

「じゃあボクシングSEXだよ、今度は美由紀ね」

ずむっ!

かなり強く打ったボディブローが美由紀の腹にめり込んだ。

「んぶぇっ!」美由紀がマウスピースを吐き出す。

びちゃびちゃと跳ね回る自分のマウスピース、そして打たれたボディには内臓に快感が響き渡る。子宮の中までペニスを突き通したような物凄い感触だ。

「はう・・・」美由紀は片膝をついて座り込んだ。

膣が収縮して、だらしなく粘液を流しだしている膣口が開いたり閉じたりする。

(え?え?)じょじょに快感は脳を直撃し、恐ろしいほどに気持ちよくなってくる。

(ちょっと待っ・・・)

びくっ・・・びくっ・・・びくっ・・・

美由紀は痙攣したように、声も出さずにイった。

「はぁ・・・はぁ・・・」

二人が動けなくなった頃

カーン

1R終了のゴングが鳴る。

半ば意識の飛んでいる二人を、女性のセコンドが肩を貸してコーナーポストまで連れて行く。

そして椅子に座ると、お互いのセコンドは二人のスパッツを少し脱がした。

「コンセプトは限りないエロとボクシングだからね、きっちり画に収めさせてもらうよ」Kは満足そうに言う。

お互いのスパッツの股間部には、白濁した愛液が染み付いていた。

それをカメラに収めると、セコンドはマウスピースを拾ってきた。

しかし、マウスピースは洗われないようだ。

(これって地獄?天国?)美由紀は痺れた頭で自問自答した。