《うるどの〜貧乏神思い出》

 

「よう」

「よ、貧乏神。今日でお別れだな」

「アンタ、本当に特攻して死ぬんだな!?」

「お国の為だ。」

「本当か?」

「それ以外に何がある」

「昨日が最後の夜だったのに、お前、最後の手紙を家族に書かなかったな」

「ヒロポン食ってやがる・・・あいつら」

「お前も食えよ、楽になると思うぜ?」

「俺は食わない」

「食わなかったヤツに、とりついた事がある、最後には恐怖で錯乱状態で

 ただひたすら家族の名前を叫びながらドカンだったな」

 

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「オイ、もう機体がボロボロじゃねえか」

「貧乏神が取り付いてるからじゃないのか?」

「疫病神と間違えるなよ・・・ニヤつくのもヤメロ」

「貧乏神、お前は大丈夫なのか?」

「こういう場合はな、ボタン押したら近くの陸地に瞬間移動する玉を持っている」

「そうか」

「そろそろ敵さんの船が見える頃じゃねえか?」

「・・・」

「どうした?ダンマリかい?」

「貧乏神・・・」

「なんだよ」

「怖いんだ・・・」

「俺にとっては毎度毎度のセリフだね、最後には気が狂ったようになってドカン

あ、さっき言ったか」」

「そうなるかもしれないな・・・己の命が無くなる、この世から消えると思うとひたすら怖い」

「これでまた同じようなヤツにl、とりつくのか。いい加減疲れたぜ」

「戦争ってバカげてるよな」

「おいおい、戦ってるお前が言うなよ」

「俺の人生の最後だと思うと、好きなこと言ってから死にたい」

「それは良い心がけだ、でも最後なのに何故手紙を書かなかったんだ?」

「俺が特攻で死ぬって、ワザワザ手紙を出して家族を悲しめるのか?」

「・・・そんな事言った奴は、いねえな・・・あんたは強い人間なのかもな」

「敵の潜水艦が見えた!」

「いよいよか」

「怖えぇ・・・こええよ・・・」

「あんたの大儀を思い出しな、お国の為だろ?」

「大儀か・・・:それを考えると、これは絶対やるしかないな」

「オイオイ、あっさり恐怖から抜け出したな、こいつは始めてだ、笑っちまうな」

「うおっ!羽のあたりに弾がかすった・・・おちおち死んでられねえな」

「ああ、じゃあ死ぬな」

「ありがとよ・・・お前がいたから、俺はここまでやってこれた・・・」

「これが戦争・・・か」

「すげえスピードを出す行くぞ」

「うおおおおおおお、本当にすげえな」

「貧乏神、俺はお国の為に死ぬんじゃない、あれはウソだ」

「じゃあ何だ」

「これから産まれて来る子供達の未来の為だ!」

「そうか」

「信じる!俺は未来の子孫達は必ず幸せに暮らす!そんな時代が来る!」

「そろそろヤばいから。じゃあな」

「愛想のねぇ奴だったな、じゃあな」

 

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「えらい遠い島まで飛ばしやがって・・・」

「まあ一人で考えるには絶好の場だな」

「そういや、この戦争の事を全然知らなかったな。勉強してみるか。